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Mostarda モスタルダ

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目次
- モスタルダ(Mostarda)
- 起源と普及
- 特徴
- 用途
- モスタルダ(Mostarda)の種類

モスタルダ(Mostarda)
モスタルダ(Mostarda)は、イタリア北部およびトスカーナ(Toscana)で広く作られている料理製品であり、原産地によってさまざまな材料で作られます。 これは、1種類または複数種類の果物を砂糖や蜂蜜、モスト(ぶどう果汁)またはマスタード(セナペ)などで加工した保存食品です。

起源と普及
「モスタルダ(Mostarda)」という語は、しばしば誤解を招くものです。というのも、フランス語の「ムタルド(moutarde)」や英語の「マスタード(mustard)」を指して使われることがあり、これはイタリア語では一般的に「セナペ(senape)」と呼ばれる調味料を意味するためです。
イタリア語の語源はおそらくラテン語の「ムストゥム・アルデンス(mustum ardens)」(「燃えるモスト」、すなわち「辛いモスト」)に由来し、モストの存在またはセナペのような辛味成分の存在の両方を指すが、イタリア各地のモスタルダ(Mostarda)のバリエーションでは、しばしばそのどちらか一方、または場合によっては両方の成分が含まれないこともあります。

果物を保存するためにモストを煮詰めて用いる方法は、すでに古代ローマ人の間で存在しており、蜂蜜の代わりや併用として使われていました。
一方、セナペをこの目的で使用したという証拠はないが、この成分自体はローマ人によって知られていました。
「セナペ入りモスタルダ(mustum ardens)」の誕生は、中世またはルネサンス期にさかのぼると考えられ、おそらく当時のロンバルディア地方薬種商(スペツィアーリ)による発明でした。
この「新しい」スパイシーなバージョンと並行して、セナペを含まない甘いタイプも作り続けられました。

カルピ(Carpi)のモスタルダ(Mostarda)への言及は、タッソーニ(Tassoni)の文学作品『奪われた桶(La secchia rapita)』(1621年)に見られ、教皇使節への贈り物を描写する中で(第12章38節)「非常に美味なカルピのモスタルダ二樽(due cupelle di mostarda di Carpi isquisitissime)」と記されています。
それより1世紀前の1522年には、ベルニ(Berni)が自らのユーモラスな書簡の中でモスタルダに言及していました。
この食品がイタリア北部に広まったのは17世紀頃であり、その証拠としてクリスマスの祝祭と結びつけられていたことが知られています。
モスタルダ(Mostarda)の普及はポー川平原の各都市、すなわちヴィチェンツァ(Vicenza)ヴォゲーラ(Voghera)マントヴァ(Mantova)、そしてとりわけクレモナ(Cremona)に広まり、いくつかの伝統的なレシピとして根付きました。

近年では、野菜を使ったモスタルダ(Mostarda)も広まっており、カボチャ、パプリカ、タマネギなどが砂糖漬けにされ、セナペで風味付けされます。

特徴
クレモナ(Cremona)、マントヴァ(Mantova)、ヴェネト(Veneto)のモスタルダ(Mostarda)は、多くの場合セナペを加えて辛味があり(セナペの量によって辛さが異なる)、モストは含まれません。一方で、カルピ(Carpi)、ピエモンテ(Piemonte)、およびイタリア南部のものは、モストを含むがセナペは含みません。

ロマーニャ(Romagna)のモスタルダ(Mostarda)はミックスフルーツを使い、モストをベースとしており、セナペを加える場合も加えない場合もあります。
他のもの、たとえばボローニャ(Bologna)のモスタルダ(Mostarda)にはモストが含まれず、セナペの追加は用途によって任意です。
ロマーニャ(Romagna)およびトスカーナ(Toscana)のモスタルダ(Mostarda)は、ペッレグリーノ・アルトゥージ(Pellegrino Artusi)による1891年の著作『料理の科学と食べる芸術(La scienza in cucina e l’arte di mangiar bene)』に記述されています。

用途
伝統的に、辛味のあるモスタルダ(Mostarda)は「ボッリート・ミスト(bollito misto)」(牛・豚・鶏などを煮た料理)の付け合わせとして使われるが、近年ではチーズ、特に熟成チーズとの組み合わせが広まっています。
クレモナ(Cremona)のモスタルダ(Mostarda)のような種類は、しばしば大粒の砂糖漬け果物と誤解されることがあるが、実際には塩味の料理と組み合わせるための強い風味をもつ食品です。

一方、甘いモスタルダ(Mostarda)は、菓子やジャムのような甘い料理と組み合わせられることが多くあります。

モスタルダ(Mostarda)の種類

北イタリア(Italia settentrionale)
- ボローニャ(Bologna)のモスタルダ(Mostarda):リンゴやマルメロ、オレンジ、ミックスフルーツを使った酸味のある濃い色のコンフィチュールで、「ラヴィオレ(raviole)」や「ピンツァ(pinza)」の詰め物として伝統的に使われます。肉料理用に軽くセナペを加えたバージョンもあります。

- カルピ(Carpi)の甘いモスタルダ(Mostarda dolce carpigiana):おそらく唯一、農民ではなく貴族起源のモスタルダ(Mostarda)。エミリア=ロマーニャ(Emilia-Romagna)地方の伝統食品に登録されている。レシピはさまざまで、果物の種類も異なります。ほとんどのレシピでは、赤ぶどうの発酵モスト、甘いリンゴ、洋梨、マルメロ、オレンジの皮を用います。

- クレモナ(Cremona)のモスタルダ(Mostarda cremonese):果物の砂糖漬けとシロップの混合物で、砂糖含有量は50〜60%。セナペの精油が加えられます。一般にサクランボ、洋梨、マルメロ、ミカン、イチジク、アンズ、モモが使われます。

- ロマーニャ(Romagna)のモスタルダ(Mostarda):甘口または辛口があり、マルメロとミックスフルーツを使用します。

- マントヴァ(Mantova)のモスタルダ(Mostarda):マルメロまたは「メーレ・カンパニーネ(mele campanine)」を使用し、時に洋梨も加えます。果物はヴィチェンツァ(Vicenza)のものより薄くスライスされる。マン トヴァ地方ではカボチャのトルテッリ(tortelli di zucca)にも使われます。

メーレ・カンパニーネ(mele campanine)



- ピエモンテ(Piemonte)のモスタルダ(Mostarda piemontese)または「コニャ(cognà)」:ブドウのモスト(バルベーラ(barbera)またはフラゴラ(uva fragola))をベースに、マルメロ、マデルナッサ種の洋梨、焙煎したヘーゼルナッツを加えて煮詰めたジャム。ロビオラ(robiola)などの熟成チーズに添えられます。

ロビオラ(robiola)



- ビエッラ(Biella)のモスタルダ(Mostarda biellese):さまざまな種類のリンゴ果汁を長時間煮詰め、カラメル状の黒い色にしたもの。カラメルリンゴのような甘酸っぱい味で、豚肉(パレッタ・ビエッレーゼ(paletta biellese))や熟成・塩味チーズとともに供されます。

パレッタ・ビエッレーゼ(paletta biellese)



- ヴェネト(Veneto)のモスタルダ(Mostarda veneta):フルーツのコンフィチュールで、セナペに加えてワインや砂糖漬け果物を使用。伝統的に冬の祭りにマスカルポーネ(mascarpone)とともに食べられます。

- ヴィチェンツァ(Vicenza)のモスタルダ(Mostarda vicentina):マルメロの果肉をベースに、果肉重量の50%の砂糖で煮詰めます。冷ました後にセナペ精油を加えます。洋梨で作ることもあります。

- ヴォゲーラ(Voghera)のモスタルダ(Mostarda di Voghera):果物の砂糖漬けとシロップの混合物で、1397年以前から修道士によって果物保存のために作られていました。実際その年、ジャン・ガレアッツォ・ヴィスコンティ(Gian Galeazzo Visconti)がヴォゲーラの執政官に宛てた書簡で、その美味しさを称賛しています。

初代ミラノジャン・ガレアッツォ・ヴィスコンティ(Gian Galeazzo Visconti)



中部イタリア(Italia centrale)
- トスカーナ(Toscana)のモスタルダ(Mostarda):ブドウ、リンゴ、洋梨、ヴィン・サント(vin santo)、砂糖漬けのシトロンを使い、ボッリートやロースト肉に添えらます。

- 黒ブドウのモスタルダ(Mostarda d’uva nera):トスカーナ(Toscana)の古いレシピで、収穫期初めに黒ブドウ(カナイオーロ(Canaiolo)種)と砂糖漬けシトロンで作られます。用途はトスカーナのモスタルダ(Mostarda)と同様です。

南イタリア(Italia meridionale)
- カラブリア(Calabria)のモスタルダ(Mostarda calabrese):煮詰めたブドウのモストを灰で清め、小麦粉とチョコレートを混ぜて作ります。

- プーリア(Puglia)のモスタルダ(Mostarda pugliese):ブドウを煮詰め、種を取り除いてさらに煮詰めた甘いタイプです。

- シチリア(Sicilia)のモスタルダ(Mostarda siciliana):煮詰めたブドウのモストにデュラム小麦粉と香料を混ぜて作る甘いタイプです。

- マルシカ(Marsica)のモスタルダ(Mostarda marsicana):モストと洋梨をベースにしたクリームで、俗に「モストと洋梨(mosto e pere)」と呼ばれます。

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