
野菜とともにいただくバーニャカウダ

ストーブの上でアンチョビを加える前に調理中のバーニャカウダ
バーニャカウダ(Bagna càuda)とは
バーニャカウダ(Bagna càuda、ピエモンテ語 [ˈbɑɲɐ ˈkɑʊ̯dɐ]、意味は「温かいソース」)は、イタリア北部・ピエモンテ州(Piemonte)、特にバッソ・ピエモンテ(Basso Piemonte)地方に伝わる郷土料理です。
オリーブオイル(olio d’oliva)に、ニンニク(aglio)と塩抜きしたアンチョビ(acciughe)を弱火でじっくり煮込み、滑らかなソースに仕上げます。この温かいソースに、旬の野菜を生または加熱してから浸して食べます。よく使われる野菜には、カルド(cardi)、焼いたタマネギ(cipolle al forno)、生や焼いたパプリカ(peperoni)、キャベツ(cavolo)、カリフラワー(cavolfiore)、キクイモ(topinambur)、ビーツ(barbabietole)、蒸したジャガイモ(patate)、ラディッシュ(ravanelli)、カブ(rape)などがあります。
秋から冬、特にブドウの収穫(vendemmia)の季節に食べられる料理で、収穫を終えた人々の労をねぎらう食卓の象徴でもあります。バーニャカウダは単なる料理ではなく、仲間や家族と同じ鍋を囲んで温かい時間を共有する「食の儀式」とも言えます。

フォイヨット(個人用陶器ポット)の例
フォイヨット(fojòt)と呼ばれる専用容器
伝統的には、素焼きの鍋(ディアン:dian)で調理し、炭を入れた陶器の保温器(スチョンフェッタ:s-cionfetta)で温かさを保ちながら食卓に出していました。
しかし、皆で1つの鍋に野菜を浸すのは不便で衛生的にも問題があったため、現在では、こちらの商品、個人用の陶器容器「フォイヨット(fojòt)」が一般的です。
フォイヨットは、下部にアルコールランプやキャンドルを入れて、ソースを温かいまま保つ構造になっています。これにより、いつでもトロリとした温度で、バーニャカウダを楽しむことができます。
この製品は、そのフォイヨットを現代的に再現したテーブルウェアです。家庭でも、レストランでも、イタリア北部の伝統的な「温かい食卓の文化」をそのまま再現できます。
おすすめの使い方
鍋の上皿に、温めたバーニャカウダソースを入れます。
下部のランプに火を灯し、ソースが人肌より少し温かい状態を保ちます。
お好みの野菜(生・蒸し・焼き)を添えて、ゆっくりとソースに浸してお召し上がりください。
赤ワイン(Barbera, Nebbiolo, Barbaresco, Dolcettoなど)との相性も抜群です。

大理石製すり鉢(モルタイオ mortaio)でつぶしたアンチョビ
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歴史の小話
かつてピエモンテ地方では、南フランスのプロヴァンス(Provenza)やローヌ川(Rodano)河口の塩田から塩を輸入しており、その際にアンチョビの樽を用いた「塩の密輸」伝説が残っています。バーニャカウダにアンチョビが使われるのも、その交易の名残だといわれています。

オーブン焼きポレンタのバーニャカウダ添え